|
空気砲の実演を行っているとよく、”なぜドーナツ型になるの?”とか”なぜ真ん中に穴 |
|
があくの?”と聞かれるます。答えとしては”なるものはなる!”といいたいところですが、 |
|
そういう訳にもいかないので、ココで簡単(?)に説明しようかと思います。 |
|
|
|
|
まず専門用語からですが、出てくるドーナツ状の |
|
煙の塊を”渦輪”といいます。以後渦輪と呼びます。 |
|
んで、図1を見てください。これは向かって右方向へ |
|
進んでいる渦輪の断面です。進行方向からスリット |
|
光をあて、ハイスピードカメラで撮影しました。これ |
|
を見て、”あれ?わっかになってない”、”真ん中に |
|
穴が開いていない”と思う人がいるかもしれません。 |
|
|
図1 渦輪の断面 |
そうです、実は空気の流れは”キノコ雲”のような形 |
|
|
|
をしていて、中心部は無風ではないのです。では、 |
|
|
なぜ実際に見るとわっかに見えるのでしょうか?これは煙の性質によるものなのです。 |
|
煙とは、細かい粒子が空気中に混ざってフワフワとしているものです。(雑談として煙が |
|
高い所へ上るのは、煙が軽いのではなく煙が混ざっている空気が火などであたたかく |
|
なった結果、その空気がまわりより軽くなるので上へ上っていきます。)話を戻しまして、 |
|
微粒子の特徴の、”拡散”というモノが効いてきます。図2を見てください。上下にうっす |
|
|
ら見える2つの渦に注目してください。ここがドー |
|
ナツを輪切りした部分ですね。実際ここはこのよ |
|
うに渦が出来ています。渦の中の空気の速度は、 |
|
外側にいくほど速くなります。速度が速ければ速 |
|
いほど、混ざっている微粒子の拡散していく速度 |
|
は速くなります。空気の流れに沿っていようとす |
|
る力より、拡散していく力が強い場合、微粒子は |
|
|
図2 2つの渦 |
外に飛んでいってしまいます。また、ちょうど釣り |
|
|
|
合いが取れている所では一番密度が濃くなりま |
|
|
す。(そこが渦輪の輪郭となる所ですね。それでくっきりと綺麗に見えるのです)それで |
|
実際には煙の微粒子が残った2つの渦の部分がくっきり見えてドーナツ状に見えるの |
|
です。(上図はカメラの感度をよくし、渦以外にもれ出た少量の煙の撮影も行ったので |
|
ドーナツ状以外の所の空気の流れが見えるようになっています。) |
|
|
|
で、次の疑問が、”なぜ上下に2つ渦が出来るのか?”ですね。(疲れてきた…) |
|
読んでいる方もお疲れ様です。もう少しで終りますので、、、 |
|
|
渦輪の中心を縦にスパッと切って、その断面の |
|
速度の分布を図3に示します。(概略図で実際の |
|
測定図じゃありませんが、その図を思い出して描 |
|
きました。)見てお分かりのとおり、中央部が一番 |
|
流速が速く、端っこの方にいくつれてじわじわと遅 |
|
くなっています。そして最終的には、周囲の静止 |
|
している空気と同じにゆっくりと等しくなっていきま |
|
|
図3 速度分布 |
す。この中央が速く、周りが遅いという事と、連続 |
|
|
|
的である事は、粘性(抵抗)があってこういう形に |
|
|
なるんだなぁ〜と直感的にも分かると思います。中央の流速が速い部分ではたくさん前 |
|
方に空気が流れますが、前方の止まっている空気の壁にぶつかり、行き場所がなくなり |
|
サイドへ分かれます。また中央の流速が早い部分の後方では、たくさん流れ出ていくの |
|
で気圧が低くなり、両サイドの速度の遅い空気をひきつけます。ベルヌーイの定理とか |
|
|
いいます。詳しい事は流体の教科書を…(逃げ) |
|
では、なぜこの速度分布が渦を形成するかという |
|
事ですが、この図を相対的に考えると分かります。 |
|
先ほどの図を渦輪の進んでいる速度で見ると、 |
|
図4のようになります。ようするにすべての速度 |
|
を渦輪の進行速度分引いただけですね。注目し |
|
てほしいのが渦の周り!拡大を図5に示します。 |
|
|
図4 相対速度分布 |
図5を見てもらえば分かるように中心が速度0で |
|
|
|
周囲にいくほど速くなる、そして上下は速度ベクト |
|
|
|
ルがの反対反対向きになっています。きちんと |
|
渦の速度分布をしている事が分かります。図3の |
|
速度分布は渦(回転)の速度分布って事なんです。 |
|
|
|
もう少し分かりやすく具体例を出しますと、ボール |
|
が床の上を転がる時、床の面と、接しているボー |
|
ルの面は摩擦が生じますので、速度が同じになり |
|
|
図5 渦の速度分布 |
ます。同様に渦輪とその周囲の空気にも抵抗 |
|
|
|
が生じるので速度が連続的に同じになります。 |
|
|
しかし、中央の部分は静止している空気と接していないので、中央の部分が一番速くな |
|
ります。それが図3ですね。であって、床を転がるボール同様、その空気の塊は回転し |
|
渦を形成するのです。これが渦輪にとって一番安定(居心地がイイ状態)なんですよ。 |
|
ということで渦輪は回転することによって周りの空気との粘性摩擦を減らすことができ、 |
|
遠くまで渦の形を保ったまま進むことができるのです。 |
|
|
|
ちょっと分かりにくかったかな??(苦情・質問等は掲示板へ…) |
|
|
|
|
|
<<
1
2
3
4
5
6
7
空気砲掲示板
>>
|
|